法政大学政治学専攻の院生が発行する学術誌『政治をめぐって』に掲載された拙稿がウェブで公開されました.刊行時期は2015年3月です.
断続的に取り組んでいるマックス・シュティルナーの再解釈ですが,今回は政治理論に引きつけてシュティルナーを読むための予備的考察といった内容になっています.その過程で色々な倫理学者を攻撃していますので,その辺りが読みどころでしょうか.
博士論文が終わったら,シュティルナーを対象とする思想史研究に本格的に取り組んでいきたいと考えています.いつになるか分かりませんが,思想史研究の成果を踏まえて,改めてエゴイズムの政治理論をまとめ直すことを長期的な目標としています.
- 松尾隆佑 [2015] 「辟易するエゴイスト――政治理論における利己主義の射程」『政治をめぐって』34: 1-35.
- はじめに
- 1. 輪郭――エゴイズムとは何か
- (1)エゴイズムの複数性
- (2)心理的利己主義の擁護
- (3)心理的快楽主義の擁護
- 2. 条件――エゴイズムは可能か
- (1)利己する主体の単位
- (2)利己の時間的制約
- (3)利己の身体的制約
- 3. 構想――エゴイズムは値するか
- (1)エゴイストによる正義構想
- (2)主体像の刷新――リベラリズムと規範的関係論のあいだ
- (3)エゴイズムの政治理論へ
- おわりに