Saturday, April 9, 2016

掲載・公開告知: 「辟易するエゴイスト――政治理論における利己主義の射程」


法政大学政治学専攻の院生が発行する学術誌『政治をめぐって』に掲載された拙稿がウェブで公開されました.刊行時期は2015年3月です.

断続的に取り組んでいるマックス・シュティルナーの再解釈ですが,今回は政治理論に引きつけてシュティルナーを読むための予備的考察といった内容になっています.その過程で色々な倫理学者を攻撃していますので,その辺りが読みどころでしょうか.

博士論文が終わったら,シュティルナーを対象とする思想史研究に本格的に取り組んでいきたいと考えています.いつになるか分かりませんが,思想史研究の成果を踏まえて,改めてエゴイズムの政治理論をまとめ直すことを長期的な目標としています.


  • 松尾隆佑 [2015] 「辟易するエゴイスト――政治理論における利己主義の射程」『政治をめぐって』34: 1-35.
    • はじめに
    • 1. 輪郭――エゴイズムとは何か
      • (1)エゴイズムの複数性
      • (2)心理的利己主義の擁護
      • (3)心理的快楽主義の擁護
    • 2. 条件――エゴイズムは可能か
      • (1)利己する主体の単位
      • (2)利己の時間的制約
      • (3)利己の身体的制約
    • 3. 構想――エゴイズムは値するか
      • (1)エゴイストによる正義構想
      • (2)主体像の刷新――リベラリズムと規範的関係論のあいだ
      • (3)エゴイズムの政治理論へ
    • おわりに


Thursday, April 7, 2016

御礼: 源島 [2016]


著者の源島さんからご恵送頂きました.ありがとうございます.

前作に引き続きアイデアの政治によるブレア政権期の研究で,思惑の異なるアクター間での「協働」を可能にした条件を,言説分析を通じて明らかにするものになっています.

今回は特に「解釈主義」の立場が明確に打ち出されており,方法的意識がより鮮明になっているように(専門外ながら)感じました.ご研究の更なる展開が期待されます.

  • 源島穣 [2016] 「イギリスの社会的包摂をめぐるアイディア――パートナーシップ制度参加に向けて」『国際公共政策論集』37: 67-84.
    • はじめに
    • 第1章 ガバナンスの展開とパートナーシップ制度
      • 1、ガバナンスの展開―「効率性」から「協働」へ―
      • 2、パートナーシップ制度とその問題点
    • 第2章 分析枠組
      • 1、どのようなアイディアを析出するか
      • 2、アイディア析出の方法
    • 第3章 協働に対する政府、地方政府、ボランタリー・セクターの認識
      • 1、政府
      • 2、地方政府、ボランタリー・セクター
    • 第4章 アイディアの生成
      • 1、「社会関係資本」の論理
      • 2、「文化の変革」の論理
      • 3、アイディアの確定
    • 結論と今後の課題

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