Tuesday, May 31, 2016

政治思想学会2016年度研究大会


去る5月29日(日)に,政治思想学会2016年度研究大会(於:名古屋大学東山キャンパス)の自由論題分科会Cにて,研究報告をさせて頂きました.

論題は,「企業経営における政治的なもの――経済権力の民主化へ向けた予備的考察」というもので,19世紀後半から20世紀前半までの主要な経営学説・経営思想を「小政治」の一形式にかかわる思想史として読み替えることで,企業経営を主題とする政治思想史・政治理論研究の可能性を探る試みでした.

報告の際に一部お聞き苦しいところがあり,また頂いたご質問に不十分なお答えしかできないところが多く申し訳ありませんでしたが,ご司会頂いた辻康夫先生,ご質問頂いた諸先生方,ご清聴頂きましたフロアの方々に改めて御礼申し上げます.

学会HPに事前にアップして頂いたものに修正を加えた最終的な報告原稿を,academia.eduに掲載しておきましたので,ご関心がおありの方には是非ご笑覧頂ければ幸いです.


Wednesday, May 25, 2016

御礼: 山本 [2016]



著者の山本さんよりご恵贈賜りました.ありがとうございます.

山本さんとは主に学会などでお会いすることが多いのですが,今秋の日本政治学会では分科会をご一緒させて頂くことになり,何かとお世話になっております.

博士論文の待望の書籍化ということで,個別には既発表の雑誌論文などで拝読している部分もあるかと思いますが,まとまったかたちで読めるようになったことで理解を深められそうです.勉強いたします.

タイトルの「不審者」については,帯に引かれている次の記述が印象的です.それは「私たちのすぐかたわらに佇む不気味な隣人」,「たとえば私たちがよく目にするような、デモを横目に立ち行く彼/彼女であり、リズムに合わせてつま先を揺らす警官であり、遠慮がちに端のほうでコールを口ずさむ私たちのことでもある」.


  • 目次
    • 序章 デモクラシー、われら同質なるもの [1]
      • 1 「人民」の両義性とデモクラシー [1]
      • 2 終わりなき同質化と異質なもの [5]
      • 3 本書の主題と先行研究 [9]
      • 4 本書の構成 [18]
    • 第一部 エルネスト・ラクラウのポスト・マルクス主義
      • 第一章 ポスト・マルクス主義の系譜学――ラディカル・デモクラシーの足音 [27]
        • 1 ポスト・マルクス主義前夜 [27]
        • 2 マルクス主義国家論との対話 [29]
        • 3 ラクラウのイデオロギー論――階級還元主義批判と人民=民主主義的審問 [33]
        • 4 ポピュリズム論への展開 [38]
        • 5 ポスト・マルクス主義の系譜学 [42]
        • 6 「釈明なきポスト・マルクス主義」のために [46]
      • 第二章 ポスト・マルクス主義の方法論 [51]
        • 1 マルクス主義における本質主義批判とヘゲモニー [52]
        • 2 言説 [60]
        • 3 ポスト・マルクス主義への不満と不安 [69]
        • 4 ポスト基礎付け主義 [74]
        • 5 ラディカルな唯物論 [79]
      • 第三章 政治と普遍的なるものの行方 [85]
        • 1 普遍主義の黄昏のなかで [85]
        • 2 『ヘゲモニー』における普遍主義への懐疑 [89]
        • 3 普遍性の構築 [93]
        • 4 普遍化しきれないものの残余 [101]
        • 5 普遍と個別のはざまで [106]
      • 第四章 敵対性と異質なもの [111]
        • 1 敵対性への問い [111]
        • 2 危機の時代におけるヘゲモニーと敵対性 [114]
        • 3 転位と構成的外部 [118]
        • 4 敵対性の相対化 [126]
        • 5 同質性と異質性の閾 [130]
      • 補論 政治的オプティミストの弁明――ポスト・マルクス主義とプラグマティズム [141]
        • 1 はじめに [141]
        • 2 ポスト・マルクス主義とプラグマティズム [144]
        • 3 基礎付けへの二つの態度 [149]
        • 4 プラグマティズムを徹底化すること [154]
        • 5 政治的作為へのオプティミズム [158]
    • 第二部 不審者のデモクラシーに向けて
      • 第五章 アゴニズムの隘路――シャンタル・ムフの闘技的民主主義について [165]
        • 1 ラディカル・デモクラシーとは何か [166]
        • 2 シャンタル・ムフの闘技的民主主義 [171]
        • 3 政治的なものの沈黙とアゴニズムの隘路 [180]
      • 第六章 不審者のモンタージュ [187]
        • 1 異質な不審者の出現 [187]
        • 2 参加デモクラシー再訪 [190]
        • 3 不審者の存在論 [194]
        • 4 不審者のモンタージュ [204]
      • 第七章 不審者のデモクラシー――ポピュリズム/同一化/象徴的代表/動員 [211]
        • 1 同一性の政治学を牽制する――現代政治理論の二潮流 [212]
        • 2 ポピュリズムとデモクラシーの二縒り理論 [220]
        • 3 ラクラウのポピュリズム論――政治的なものの回帰 [230]
        • 4 同一化と象徴的代表 [238]
        • 5 参加モデルから動員モデルへ [246]
      • 終章 政治的作為と偶発性――戦略と政治的なもの [261]
        • 1 ラディカルなものの責務 [261]
        • 2 政治的作為と偶発性のアポリア [265]
        • 3 付帯と偶発 [270]
        • 4 付帯の政治と偶発性の政治 [272]
        • 5 民主主義理論から民主主義戦略へ [276]
        • 6 戦略と政治的なもの [282]


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